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これから春休み、ゴールデンウィーク、夏休みと子供には楽しい長い休みが続きますね。
長い休みとなると旅行に行ったり、実家に帰ったりと長旅をする機会も増えると思います。そんな時、心配なのが子供の乗り物酔いです。せっかく出かけるのだから、子供に楽しい思いをさせてあげたいですよね。
子供が乗り物酔いや車酔いになるのは一体いつからなのでしょうか?乗り物酔いになりやすい理由や対策方法などをまとめました。
そもそも乗り物酔いってどんな症状なの?
乗り物酔いは、学問的には『動揺病』『加速度病』と呼ばれています。
乗り物酔いの初期症状は、頭痛や頭が重く感じたり、生つば、あくびなどがみられます。
その後、吐き気を催したり、顔が青ざめ、手足が冷えたり、冷や汗、ふらふらするなどの症状が出てきます。もっとひどくなると嘔吐してしまいます。
乗り物酔いの症状は、脳からの警報なので、そのままにしておくと症状はどんどん悪化していくのです。
乗り物酔いのメカニズム
乗り物酔いは、私たちの体に備わっている『空間識』という自分が今どこでどういう姿勢でいるのか、という認識が崩れることによって起きる自律神経の失調状態です。
『空間識』は、視覚・平衡感覚・筋肉の動きによって作られていますが、乗り物の揺れによって『空間識』が崩れ、臓器(胃や心臓など)や発汗を調節している自律神経が乱れると、冷や汗や吐き気などの症状が出るのです。
● 視覚
目で見ている状況と体で感じる状況にズレが生じると乗り物酔いの原因となります。
たとえば、停車中の電車の中から反対方向へ動き出す電車を見ると一瞬こちらが動き出したかのように感じるというような状況です。
● 平衡感覚
体がどちらを向いているか、どれくらい傾いているのか、という情報は運動能力のある生き物にとって大切な情報です。これらの情報を受け取るのが平衡感覚です。
人間の場合、平衡感覚は内耳の三半規管と耳石器で調整されています。
三半規管 : 前後・左右・横方向のそれぞれの身体の回転方向を感知
耳石器 : 水平方向と垂直方向の身体の傾きを感知
乗り物に乗り、普段とは違うあらゆる方向の振動を内耳がキャッチすると、「異常な振動」として脳に報告し、脳が混乱し自律神経に影響が出てしまいます。
● 筋肉の動き
目で位置を確かめ、耳で平衡感覚を保ち、その状況により筋肉が動く、という3つの情報を脳に伝えて、体は安定を保っています。
乗り物などに乗ると筋肉の制御ができなくなります。
出典:エスエス製薬
『空間識』だけでなく、ガソリンなどの不快な臭いといった嗅覚による刺激や、ストレスや不安といった精神的な要素によっても乗り物酔いが生じたり、悪化したりします。
子供の乗り物酔いはいつから?
子供の乗り物酔いは一体いつごろから出てくるのでしょうか?
0〜3歳くらいまでは、平衡感覚が未発達なため、乗り物酔いになることはほとんどありません。
3〜4歳くらいで乗り物酔いが現れ始めます。
小学生から中学生は、平衡感覚が発達し始めるため、特に乗り物酔いしやすくなります。
大人になるにつれ、乗り物酔いをしにくくなっていきます。
大人になり乗り物酔いしなくなっていても、50代以降くらいになると再び乗り物酔いが出てくる人もいます。
娘も赤ちゃんの頃は車や飛行機、電車といろいろ乗せましたが、うんともすんとも言わず、比較的おとなしくしてくれていました。乗り物酔いは大丈夫かな?と考える必要もなかったです。
ところが幼稚園年中、年長くらいから「車に乗るとくらくらする」「電車もダメ」と言い始めました。ちょうど乗り物酔いが現れ始める時期だったんですね。
乗り物酔いになりやすい乗り物や状況は?
乗り物酔いになる乗り物は人によって違い、飛行機の場合もあれば、列車、車、船、遊園地の遊具(ジェットコースターやコーヒーカップなど)と様々です。
地震の揺れが頻発すると乗り物酔いのような症状が出る場合があります。
乗り物酔いが発生しやすい状況は以下のような時です。
- 山道などのカーブが多い道
- 車内が暑い、または厚着
- きつい洋服を着ている
- 空腹時、または満腹時
- 車内での読書やゲーム
- 睡眠不足
子供の乗り物酔いを防ぐ10の対策!
まずは乗り物に乗る前に、乗り物酔いの予防対策をしっかりとしましょう。
乗り物に乗る前の対策
● 睡眠を十分にとる。
長時間乗り物に乗る前日の夜は早く寝て寝不足にならないようにしましょう。
● 空腹や食べ過ぎに気をつける。
脂っこいものは避け、消化の良いものを食べることで胃腸の調子を整えましょう。また、食べ過ぎにならないようにしましょう。大人の場合は、アルコールは飲まないようにしましょう。
● 柑橘系は食べない、飲まない。
みかんなどの柑橘系は消化が悪く、吐き気をもよおしやすくなるので避けましょう。
● 鼻づまりを解消しておく。
鼻が詰まっていると鼻の血管が圧迫され酸欠状態になり、三半規管に異常が出るため、乗り物酔いになりやすくなります。
● 乗り物酔いの薬を乗り物に乗る30分前に飲む。
最近は3歳から飲める乗り物酔いの薬もありますので、乗り物酔いをする子には、乗り物に乗る30分ほど前に乗り物酔いの薬を飲ませるようにしましょう。
乗り物に乗った後の対策
● 揺れの少ない場所に座る。
乗り物に乗るときは、できるだけ揺れが少ない場所に座りましょう。
乗り物酔いしにくい乗り物ごとのオススメの座る場所
《 車 》
車は助手席だと進路を予測しやすく乗り物酔いしにくくなりますが、座席によってあまり差はありません。換気をしたり”しりとり”などをしたり楽しみながら気をそらすようにしましょう。
《 電車 》
車両中央部の窓際の席で進行方向を向いて座りましょう。
《 バス 》
バスは中央寄りの座席が揺れを感じにくいですが、窓際だと景色が見られたり風に当たることができるので、前輪後ろの窓際の席がオススメです。
タイヤの上や後部のエンジン付近の席は常に振動が伝わってきますので、避けましょう。後部の座席は揺れが激しいので避けたほうがいいです。
《 飛行機 》
飛行機の場合、重心近くに座ると揺れがひどくなく、乗り物酔いしにくくなります。飛行機の重心というのがわかりにくいかもしれませんが、大体、飛行機の胴体の中央あたりの席(翼の近く)ということになります。
窓側の席で地平線や水平線を眺めると、平衡感覚を保てるのでオススメです。
《 船 》
船は場所によってかなり揺れ方が違います。船の中央の下層部が最も揺れにくいです。そのため、船の医務室は中央下層部にある場合が多いです。医務室の近くの客室を指定するといいでしょう。
● おしゃべりなどで気分をまぎらわす。
緊張状態にあると乗り物酔いをしやすくなるので、おしゃべりをしたりして楽しい時間を過ごすようにしましょう。好きな音楽を聴くのもいいですね。
● 2時間に1回ほど軽くおやつを食べる。
空腹状態になると脳に栄養が届かず、脳が疲労することによって様々な働きが衰えていき、乗り物酔いしやすくなります。そのため、空腹になる前に軽くおやつなどを食べるようにしましょう。
● 寝られたら寝る。
寝てしまえば車酔いの気持ち悪さも何も感じません。乗り物酔いをしそうな人は寝られたら寝るのが一番ですね。
● 換気を良くする。
乗り物酔いは臭いの影響もあるため、換気をよくしましょう。
子供が乗り物酔いになった時の対処法は?
上記の対策をしても乗り物酔いになってしまった場合は、それ以上苦しくならないように下記のような対応をしましょう。
- リクライニングを倒し、楽な姿勢をする。
- 首元やベルトなど服装をゆるめる。
- 吐くと楽になることがあるので、嘔吐を我慢させない。
- 乗り物から降り、外の空気や風にあたり気分転換をする。
- 手首のツボを押す。
手首のツボは、少しでも気分が悪くなったら押しましょう。
押す場所は、手首の内側にある『内関(ないかん)』というツボで、手首の付け根から指3本分の位置です。親指で押し揉むことで気分が落ち着き、吐き気も治まっていきます。
手首のツボをずっと押し続けるのはなかなか難しいですが、同じ効果があるリストバンドも出ています。乗り物に乗る前からこのリストバンドをすることで乗り物酔いを事前に防ぐことができます。
子供の乗り物酔いは気持ちも言葉も大事!
病院の先生によると、子供の乗り物酔いは気持ちの面がかなり重要だそうです。
子供が吐いても怒らないようにしましょう。吐いたら怒られる、という強迫観念やストレスがあることによって、逆に吐いてしまう、という悪循環になることがあります。
また、子供が乗り物酔いしなかった時には、大げさなくらいに褒めてあげると、自信がつき、次に乗り物に乗る時に乗り物酔いしにくくなったりします。
私の娘の場合は、新幹線や車で乗り物酔いを発症します。症状はあまりひどくありませんが、たまに「くらくらする」と言ってきます。
私の場合、子供に「ママの”おまじない”で乗り物酔いしなくなるよ」と言い聞かせています。乗り物に乗る前に子供をぎゅっと抱きしめて”おまじない”をしているフリをするだけですが、子供の気持ち的には楽になるようです。
乗り物に乗って気分が悪くなってきたら、またギュっと抱きしめて”おまじない”のフリをします。そんなちょっとした気の持ちようで、長時間でもなんとか乗り物に乗ることができています。(半分くらいの時間は寝ていますが)
子供の場合、乗り物になんて酔わないよ!大丈夫!と思い込ませることも大事です。
それでも気にしちゃう、乗り物酔いに対する不安が大きい繊細な子には、乗り物酔いの話題にあえて触れず、乗り物酔いでの体験を思い出させないようにしてあげる方がいいかもしれませんね。
子供の頃から乗り物酔いがひどかった人の乗り物酔いを克服した話を読んだことがありますが、その人は高校生の頃、修学旅行か何かのバスで吐いてしまったのですが、バスガイドさんが普通に接してくれ、楽しくネタにしてくれたことで、安心感を覚え、それ以降、乗り物酔いをしなくなったそうです。
気持ちの持ちようが大きいと感じるエピソードです。ぜひ子供が安心できるような言葉をかけてあげたいですね。
乗り物酔いに効果のある食べ物は?
乗り物酔いになりにくい食べ物や、なってしまった後に食べたほうが良い食べ物などをご紹介します。油物を食べると乗り物になりやすいなど、食べ物にも左右されることがありますので、気をつけたほうがいいですね。
出かける前日の夜に食べたほうがいい食べ物
うどんやお粥など消化が良く、胃に負担のないものを食べましょう。
乗り物酔いを防ぐ食べ物
チョコレート、アメ
血糖値が上昇することにより、脳が覚醒し、乗り物酔いしにくくなります。
生姜
生姜で吐き気を催すまでの時間が長くなります。ジンジャーティやジンジャーを使った飴なども効果的です。生姜が効かない人はペパーミントでも同じような効果が得られます。
子供には無理かもしれませんが、生姜エキスが入った『鼻・のど甜茶飴』も乗り物酔い対策にオススメです。メントールですごい爽快感です。
乗り物酔いになってしまった時に良い食べ物
梅干し
梅干しに含まれるクエン酸やピクリン酸が腎臓や肝臓の働きを助け、乗り物酔いが解消しやすくなります。また、梅干しを食べた時に出てくる大量の唾液が三半規管のバランスを安定させます。梅干しの酸味は、吐き気やむかつきを抑えます。
さきいか・ガム・グミ
噛みごたえのあるものを噛み続けることで、脳が覚醒し、乗り物酔いしにくくなります。また、噛むことで唾液が出てきて三半規管のバランスを安定させます。
子供の場合、飴はのどに詰まるという危険性もあり、虫歯にも良くないので、キシリトール入りのガムを噛ませるほうがいいかもしれませんね。
まとめ
今回ご紹介した乗り物酔いの対策で、少しでも子供とのお出かけが楽しくなるといいな、と思います。
乗り物酔いの対策も乗り物に乗る場所や食べ物などいろいろありますが、子供にあったものや実行しやすいものから取り入れていくと、少しずつでも乗り物酔いをしなくなる可能性があります。